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スリフト・ストア:リサイクルのココロ

2002年7月8日  「スリフト・ストア:リサイクルのココロ」

スリフト・ストアとは、早い話が中古品屋のこと。日本にも中古品屋はありますが、古いからこそ価値の出るもの、高価なブランド品、あるいは本や音楽CDといったものが主流で、雑貨や生活用品の中古品店は、あまり見かけることはありません。

しかしここカナダのスリフト・ストアは少し趣きが違います。どんな田舎町に行っても一軒や二軒はすぐに見つかるほど一般的で、何でも売っており、どの店もいつも人で賑わっています。来ている人たちは、ごく普通の身なりをした普通の人たちです。店自体はジャンクヤードのような趣のところが多いですが、新品を買うほどではないもの(一度しか使わないようなものや子ども用品など)を買うのにうまく利用しているようです。

こういった中古品店が浸透している理由のひとつは、スリフト・ストアには非営利団体経営のものが多いからでしょうか。そういった店では商品の多くは寄付でまかなわれており、その売上はその団体の利益となります。早い話が、要らなくなったものを誰かに使ってもらうというリサイクルの精神と、チャリティが組み合わさったようなもので、日本で自治体が家庭内の不用品を持ちよって開催するフリーマーケットに似ているかもしれません(日本では使い古しのものはあまり出品しませんが)。

"Thrift Department Store" Value Village

有名なスリフト・ストアにバリュービレッジ(Value Village)という店があります。この店は、上記のような特定の団体が経営するものではありませんが、仕組みは似たようなもので、非営利団体が寄付で集めた不用品を、バリュービレッジが買い取るという形をとっています。家にいると、いろんな慈善団体から「不用品があれば寄付をお願いします。あればいつでも取りに伺います」というような電話がよくかかってくるのですが、そうやってその団体に寄付された不用品は、このような店に買い取られ、その団体に何がしかのお金が入るという仕組みになります。もちろん個人で直接不用品を寄付することもでき、その場合は、量に応じて各種団体にバリュービレッジからお金が寄付されるようなっているようです。寄付されたり買い取られた不用品は分類され、店頭で売られるか、もしくは開発途上国に送られたり、生地の再生業者に売られたりしているそうです。

奥は衣類。手前に見えるのはお鍋のフタ。フタだけ欲しい時に。

眠っている不用品を非営利団体に寄付することにより、その団体にはお金が入り、欲しい人は安価で買うことができるという、誰にとってもハッピーなシステムで、こういうリサイクルのシステムが社会の中に息づいているおかげで、お金をほとんど使わずに生活用品一式を揃えることも可能です。しかし、人が物を買わないせいでカナダの経済が発展しないのかもしれず、別の角度から見ると良いことなのか悪いことなのかわかりませんが、戦後の経済成長の中で日本人が失ってしまった「物を大切にする心」が、カナダ人の中にはまだ息づいているんだなあと感じます。

このリサイクルとチャリティ精神に溢れたシステムは、非常に素晴らしいと思うのですが、実を言うと、私が初めてここを訪れた時は、大きなカルチャーショックを受けました。「何でこんなものまで売ってるの?こんなもの、誰が買うの?」のオンパレードだったからです。日本ではゴミに出しても誰も拾わないようなものが、堂々と値段をつけられて売られています。「カナダってこんなものを買わなきゃいけないくらい貧しい国なの?」というのが最初の印象でした。もちろん十分使えるものも売ってはいるのですが、目につくものといったら、サビ付いた鍋、柄の欠けたマグカップ、耳のちぎれたぬいぐるみ、最初の10ページくらいがひきちぎられた日記帳、使いかけのマニキュア、プレゼントが包んであったラッピング紙、編みほどきの毛糸、市販のクッキー缶(開けるとクッキーのカスが残っている)、、洗いざらしのブラジャーまで、書き上げるとキリがありません。とにかく、多分日本人なら迷わず捨てるだろうものが、堂々と売られていることにショックを受けたのです。値段もそれなりにつけられており、使用価値のあまりないものは、割合と安いのですが、少しでも使用価値のあるものは、結構な値段がついているのもビックリです。たとえば、洗いざらしのバスタオル。色がだいぶ褪せていて、角のステッチがほころびかけているものが$4.99(約400円)します。新品でも安いものなら$8.00(約640円)くらいで買えるかもしれないバスタオルがです。

女性用ジーンズ。$1.99(\160)から。一番手前に写っているのは$5.99(\480)と少し高め。

それでもいつも面白いものが見つかるので、機会あるごとにスリフト・ストア に足を運んでいるうちに、以前の悪い印象がだんだんと変わってきました。

多分、日本でもカナダでも、捨てたいのに捨てられないガラクタが家のどこかにあって、そういうものが吹き溜まりのように ここに流れてきているのではないかと思うようになったのです。そういえば日本の私の家にも、捨てるに捨てられないものがたくさんあります。小さいころにかわいがっていたリカちゃん人形、すりきれて見栄えが悪くなった小銭入れ、時代遅れの服、編みかけのマフラー、古いシーツ、最初の2ページだけ使ったノート、観光地のキーホルダー、ペナント、数枚だけ残った便箋、カップだけ割れて残ったソーサー、趣味の悪いお土産の置物、使いかけの消しゴムやボールペン、小さい頃集めてたシール、使いかけのクレパス、意味なく取っておいた包装紙、文鎮……。なんとなく捨られなくて、押しいれに何年も押し込められているようなものです。そんなガラクタでも、もしも万一、誰かが欲しいと思って使ってくれたら、どんなに嬉しいでしょう。低い確率でも、誰かが使ってくれるかもしれない可能性があれば、私は迷わずに寄付すると思います。残念ながら日本では、そんなガラクタなど引きとってくれるところもなく、引越しを機会に結局は捨ててしまうことになるのですが、もし日本にスリフト・ストアがあれば、私だってここのカナダ人と同じように、「こんなもん誰が買うの?」と思われながらも、「誰かが使ってくれますように」と一縷の願いを託しながら寄付するんだろうなと思います。

左:裸のバービーちゃん$3.99(\320)。服はどこに?
:アナログレコード。掘り出し物が見つかるかも?

捨てずに寄付。こちらでは、どんな古くなったようなものでも、捨ててしまうことはあまりないように思います。自分が使わなくても、誰か欲しい人がいるかもしれません。産業の発展していない開発途上国の人にとっては、貴重なものかもしれません。ボロボロになったTシャツも、生地再生業者で再生してもらえれば、それだけ資源のリサイクルになるのです。カナダに来る前に一人暮しのマンションを引き払ったときに捨てた家具や衣類は、リサイクルされることもなく焼却されてしまったんだなぁと考えると、今さらながら罪の意識を感じてしまう私です。

日本ではこういったリサイクルシステムは経費がかかりすぎてしまい、新しいものを買った方が結局は安くつくのは明らかです。また、新しく買う方が日本経済の助けにもなります。しかし心情的には、いくら経費がかかっても、使えるものは最後まで使ってあげたいと思うのは、私が古いタイプの人間だからでしょうか。

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