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カナダとアメリカ

2002年10月20日  「カナダとアメリカ」

カナダとアメリカ。実はカナダに暮らすようになるまでは、英語圏に関してはカナダとアメリカは大して変わらないだろうと思っていました。強いて言えば、カナダの方がアメリカより治安が良く、北にある分寒い、といった程度の認識だったでしょうか。現実にアメリカとカナダは、共にヨーロッパ諸国が開拓した移民の国。陸続きの両国は、市民権さえあればパスポート無しで両国を行き来できるほど仲が良く、特にバンクーバーはアメリカ国境に近いので、文化的にもアメリカのテレビのチャンネルが多く入ってきています。バンクーバーに来てからも、テレビや映画を見て「アメリカもカナダも同じじゃないの」と漠然と思っていました。

しかしここに住むようになって、カナダとアメリカはハッキリ違う、ということがわかってきました。はっきりとした目に見える違いではなく、メンタリティの違いです。まずその違いはカナダ人がもっとも認識しており、我々はアメリカ人とは違う!と常に思っています。不思議なことに、私の周りでアメリカが好きというカナダ人はほとんどおらず「アメリカとカナダは似たようなもの」なんて発言をしようものなら、必死になって反論してきます。もちろん何かにつけてアメリカの片田舎扱いされているカナダですから、一緒にされて面白いはずはありませんが「どこが違うの?」と問うと「Everything(全部)」と答えるくらい、同じにされると腹がたつようです。「あなただって、日本と韓国が同じって言われたら『違う』って言うでしょう?それと同じよ」とカナダ人は言いますが、日本と韓国が違うほど、アメリカとカナダは違わないのに、と思っていましたが、ここに長くいればいるほど、確かにアメリカとカナダは違う国だと実感するのです。

目に見えるわかりやすい違いで言えば、アメリカの連邦共和制に対しカナダは立憲君主制。元首はイギリスのエリザベス女王です。歴史的にはアメリカもカナダも英国領でしたが、18世紀に戦争により独立宣言をしたアメリカと違い、カナダは長い間イギリス領で、カナダ自治領となったのが135年前、完全独立国家となったのは意外に遅く、1949年です。戦争で独立を勝ちとったアメリカと違い、カナダの文化や慣習はヨーロッパ的な部分が多く、人々のメンタリティにも大きく影響しているように思います。特にケベック州は、もともとフランス領だったところを英仏の争いによって英国領となってしまったという経緯から、住民のほとんどがフランス系カナダ人で、ここだけは法律も大きく違い、1960年より分離独立運動が続けられています。

もともとがイギリスとフランスが入植したことから発展した国なので、公用語は英語とフランス語の2つ。上に書いたように、ケベックは法律も大きく違います。加えて、入植前からこの地に住んでいる原住民(ネイティブインディアン)の住んでいる区域では、カナダの法律ではなくネイティブインディアンの伝統を尊重するなど、もともと混在する複数の文化をひとつにまとめるのではなく、尊重しつつ互いに共存してゆこうという姿勢が強いように思います。
この違いは、アメリカとカナダの移民に対する政策によるものでしょう。アメリカでは、アメリカの住民になったら母国の文化を捨て、みんなで「アメリカ人」になりましょう、という同化政策を奨励しているのに対し、カナダでは、自国の文化を保ったまま、カナダという土地で違ったまま仲良く暮らしてゆこう、という多文化主義政策をとっているのです。アメリカが「人種のるつぼ」と呼ばれるのに対し、カナダは「人種のモザイク」。異なった文化をもつ人をひとつに混ぜず、お互いを認め合った上で、違ったままで共存してゆこうという考えです。こういう政策の違いから、国民の結束という点では、アメリカに比べるとカナダは大きく劣りますが、移民にとってはとても「やさしい国」なのではないでしょうか。

異文化と共存してゆくには、他文化から見ると自分もまた異文化であるということを認識し、違ったものを認め、相手を理解しようとする姿勢がもっとも重要ですが、カナダとアメリカの違いはそこにあるような気がします。
去年の911のテロから一年たった今年、カナダの首相が「今回のことは、我々を含め西欧諸国の傲慢さから来た結果かもしれない。経済的な国力の格差が今回の悲劇を引き起こしたのではないか。我々はその原因を振り返り、反省をしなければならない」との談話を流しました。私は「良いこと言うな」と思っていたのですが、案の定クレームがあったらしく、追って「これは一般論であって、アメリカを非難しているというわけではない」という声明を発表することとなりましたが。また京都議定書も、カナダは全世界にとって非常に重要なことと認識し、毎日関連ニュースが報道されているのに対し、アメリカは自国の産業を守るために離脱。アメリカを非難しているわけではないのですが、自国ではなく相手に目を向けてみる、という意味においては、隣国でありながら、これほど姿勢が違うものかと思います。

しかしアメリカの経済的なパワーは見習うところが大きく、ほとんどのカナダ人が、アメリカなしにカナダが繁栄できないことを認識していることも事実です。まったく個人的な印象ですが、アメリカが体力旺盛で血気盛んなティーンエイジャーだとすれば、カナダは体力では負けるが人生経験豊かなおじさん、というイメージでしょうか。

アメリカのテレビや映画では、ある国の人たちをステレオタイプ化したものが多いのですが、カナダ人のステレオタイプといえば、語尾に「eh?(エィ)をつけて話す」にはじまり、「ランバー・ジャック(木こりのジャック)」「ビーバー」「へき地」「犬ぞり」などのイメージです。それを逆手にとってジョークにしたのがカナダのモルソン社というビール会社の「Canadian」という銘柄のビールのCM。これにはいくつかバージョンがあるのですが、基本的にアメリカ人がカナダ人をからかい、カナダ人が反逆するものです。カナダ人のアメリカに対する感情がコミカルに表現されていて面白いので、最後に紹介しておきます。

2002年10月現在、最新のシリーズが「ビーバー」というもので、バーで隣り合わせになった失礼なアメリカ人にペットのビーバーに襲わせて仕返しします。少し前のバージョンには、アメリカ人がカナダ人同僚に対し、カナダなまりを真似したり、田舎モノだということを延々からかい続け、とうとうキレてこのイヤーなアメリカ人に仕返しをするというものもあります。

そのCMシリーズの私のお気に入りが、講堂でカナダ国旗を背に若者がカナダについて熱く演説するバージョン(ムービーはこちら)CMの名は「The Rant」。Rant とは暴言、熱弁、大言壮語、といった意味の言葉ですが、「我々はアメリカ人とは違う!」と語るその熱さ加減が面白いので最後に訳と原文を載せておきます。ごくごく平均的なカナダ人の若者ジョーが、最初はごく普通に、そしてどんどん熱く激昂し、最後に「I am Canadian」のビールのロゴがババーンと登場するのですが、カナダに住んでいるものとしてはヒジョーにスッとする面白いCMです。ちなみにこれには「I am NOT Canadian!」という同CMのパロディ(ラジオ局製作)があります。フレンチ訛りのケベック人が、ケベック人のステレオタイプを羅列するもので、本物バージョンよりちょっと辛辣。独立運動盛んなケベックなので「I am NOT Canadian」というものですが、フレンチ訛りの英語を聞きたい方はどうぞ。

※ムービーは他のサイトへのリンクです。リンク先が切れてしまう可能性もありますので、見たい方はお早めに。

The Rant

ヘイ

俺は「木こりのジャック」でもないし、毛皮商人でもない
イグルー(かまくら)に住んでいるわけでも、
鯨の脂身を食ってるわけでも、
犬そりを持っているわけでもない

それに、カナダ出身のジミーやサリーやスージーのことも知らない。
(※アメリカ人はカナダ人はみんな知りあいだと思っている)

もちろん彼らがいい人たちだってことは保証はするけどさ

ここには「首相」がいる。「大統領」じゃない。
ここでは英語とフランス語の両方を話す。アメリカ語じゃない。
そしてこの単語(about)は「アバウト」と発音する。「アブート」じゃない
(※アメリカ人は、カナダ人は「アブート」と発音すると思っている)。

俺は自分のバックパックにカナダ国旗を縫い付けることに誇りを持っている (※アメリカ人はバックパックに国旗を縫い付けて海外に出ると、反アメリカ分子に狙われる確立が高いので国旗は縫い付けないことが多い)。

俺が信条としているのは、警察の取り締まりではなく、平和の継続だ。
俺が信条としているのは、人々の同化ではなく、多様性だ。

ビーバー(※カナダの動物)は高貴で崇高な動物だ。
トークは帽子だ。チェスターフィールドは長椅子だ(※いずれの単語もアメリカではあまり使われない)。

そして、これ(Z)はゼッドと発音する。「ジー」ではない、「ゼッド」だ (※アメリカ人はZをジーと発音する)。

カナダは世界で二番目に大きい国
ホッケー発祥の国(※ホッケーはカナダ人が誇るものナンバーワン)

そして北米でもっとも素晴らしい場所

俺の名はジョー。そして、俺は、カナダ人だ!!!

(以下は原文)

Hey,

I am not a lumber jack or a fur trader,
and I don't live in an igloo or eat blubber or own a dog sled,

and I don't know Jimmy, Sally or Suzie from Canada although I am certain they're really, really nice, uh,

I have a Prime Minster not a president,
I speak English and French, not American,
and I pronounce it about, not a boot,

I can proudly sew my country's flag on my back pack,

I believe in peace keeping, not policing, diversity, not assimilation,
and that the beaver is a truly proud and noble animal.
A toque is a hat, a chesterfield is a couch.

And it is pronounced zed, not zee, zed.

Canada is the second largest landmass,
the first nation of hockey,
and the best part of North America.

My name is Joe, and I am Canadian!!!

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