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夏の風物詩〜PNE

2004年8月29日  「夏の風物詩〜PNE」

バンクーバーの短い夏はイベントが目白押し。有名どころで言えば、カナダディのパレード、モルソンインディ・カーレース、毎年4回に渡って行われる花火大会、ジャズフェスティバル、ゲイパレード、各地ファームフェスティバル、各コミュニティのフェスティバル(日系人のお祭り「パウエル祭」、チャイナタウン・フェスティバル、カリビアンフェスティバル等々…)など、夏の間は毎日どこかで何かしらイベントが行われ、週末ともなると大きなイベントが重なってすべてを見るのは無理なほどです。

そんなイベントがたくさんある中で地元の人に「バンクーバーの夏一番のイベントと言えば…?」と質問すれば、きっと「PNEのフェア」という答えが返ってくるに違いありません(と私は勝手に思っています)。PNEというのは、Pacific National Exhibition の略で、西部(太平洋側)で行われる全国展示会という意味。普段から遊園地や運動競技施設などを運営していますが、一番有名なのが夏のイベント「フェア(The Fair)」です。遊園地あり、アトラクションありの、子供から大人まで楽しめるイベントです。

入場料は大人ひとり10ドル(900円弱)ですが、今年はポストに最初の5日間のみ使える無料券が入っていました!

PNEは、バンクーバーの産業を促進する目的で1907年に創設され、1910年から毎年、バンクーバーの市街地に近い「ヘイスティングス・パーク」という大きな公園の一部で「フェア」を開催しています。今年で94回目。フェアの期間は8月後半から9月第一月曜(レイバー・デー)までの17日間ですが、この時期は新学期が始まる直前でもあり、秋の気候に突入して雨が降り出す季節なので、フェアは短いバンクーバーの夏の最後の楽しみです。

日本には似たようなイベントがないのでイメージしにくいかもしれませんが、フェアはアミューズメントと商業フェアと情報交換などがすべて一緒になったお祭りイベントのようなもので、「大草原の小さな家」などの19世紀が舞台のアメリカドラマにも似たようなものが時々登場することから、北米では年に一度、こういったフェアを催すのが伝統なのかもしれません。今年で94年目ですから、お父さんもお母さんも、おじいちゃんもおばあちゃんも、もしかしたらひいおじいちゃんもひいおばあちゃんも、夏になると行っていた(かもしれない)伝統的な夏のイベント。特に目新しいことがなくても、やはりPNEのフェアには行っておかなきゃ…と思わせるような、正にバンクーバーの夏の風物詩です。この期間は地元テレビの夕方のニュースもここから生中継されます。

*画像が多いと重くなるので、画像をまとめたページを作りました。興味のある方はこのページの下からどうぞ。

会場となるヘイスティングス・パークは競馬場やホッケー会場、スケートボードパークをはじめ様々な施設のある非常に大きな公園ですが、中でも目を引くのが遊園地「プレイランド」。遊園地はフェアに関係なく夏の間は営業していますが、フェア開催時は遊園地のフェア会場の一部になるので、いつもに増して大人気。バンクーバー地域で唯一の遊園地ということもあり、絶叫モノがフェア気分を盛り上げてくれます。他にも子供の好きなマッドマウスや空中ブランコなどのお決まりのライドをはじめ、シューティングやビリヤードなどで賞品のヌイグルミをゲットするアーケード・ゲームも子供たちに大人気です。この賞品の巨大ヌイグルミの系統もその年の人気によって少しづつ変わります。今年は「ファインディング・ニモ」が新入りのよう。

子供だと比較的簡単に賞品が貰えるのか、
会場はヌイグルミをかかえた子供たちでいっぱい。

また、産業促進の名にふさわしく、さまざまな会社や店がブースを出す展示館があります。テレビショッピングのようなキッチン用品の実演販売も多く、その実演する人の口車(?)に乗せられて催眠術のように要らないものを買ってしまわないよう注意が必要です(笑)。ブースも普段見かけないような変わったものもあり、見ているだけで時間が経ってしまいます。

…と、ここまでは日本人にも特に目新しくないのですが、さすがカナダだなと思うのが、PNEの最初の4日間に催される 4H Festival というもの。これは農場の人たちのコンペティションで、馬・牛・羊・山羊・ブタ・ラマ・ウサギ・犬など家畜の優秀さをそれぞれの分野で競うものです。審査は関係者でなくても見ることができます(しかしあまりにも地味な大会のせいか、会場には農場関係者らしい人しかいませんでしたが)。私が見たのはごく一部でしたが、スケジュールを見るとウサギや山羊、ブタ、ラマなどのコンテストのほか、「羊の刈りこみ」「馬毛の編みこみ」「犬の調教」などの種目や、牛やブタなどのオークションなどもあるようです。

「ラマ・パッキング」という種目。南米原産のラマ(ラクダ科の動物)は荷物を運ぶ(パッキング)を役目があるそうです。競技はラマのパッキング能力を競うもの。飼主がラマに荷物をくくりつけるところから始まり、ラマが各種障害物(細い通路、バー、丸太、後ろ向きで通る通路、植木、干してある洗濯物)をクリアし、ラマ小屋(写真上部のテント)の手前で飼主がパッキングを下ろして、ラマが小屋に後ろづさりで入って座って終わりです(中央にいるのが審査員)。ラマによっては小屋に入りたがらなかったり、後ろ歩きしたがらなかったりで飼主も必死。
審査の順番待ちをするラマたち。リラックスしてい(るように見え)ます
(*今年は4Hは見れなかったので、写真は前年度のものです)

子供たちに大人気なのが「ピッグ・レース」。かわいい子豚たちがゼッケンをつけてトラックを一周するもので、レースそのものはものの1分で終わってしまうようなものなのですが、そこが流石、北米のフェアを渡り歩いているピッグ・レースのプロのおじさん。トークを交え、様々な趣向をこらし、子供参加型の楽しいレースを演出します。

そして私がお気に入りなのが Safeway Farm Country という擬似ファーム。Safeway というのはこのあたりに多くの支店を持つ食料品スーパーマーケットの会社です。ここではここ数年、体重1.5トン以上にもなる巨大な牛が迎えてくれるのがお決まりになっています。ここには様々な種類の牛、ラマにアルパカ、羊に山羊、ターキーに鶏にハト、豚にウサギ、そしてもちろん馬など、ありとあらゆる家畜がいます。柵で囲まれてはいますが動物が近づけば触れます。子供はもちろんですが、大人も真剣な目で馬や牛を撫でています(農場関係者なのかもしれません)。毎日時間を決めて羊の毛刈りの実演や馬の蹄鉄をはめる実演、さらにはお腹の大きい牛がいればお産まで目の前で見ることができて(もちろん時間が合えばですが)本当に教育的だと感じます。動物に直接触って遊べる Petting Zoo や、干草の敷き詰めてある広場も子供たちに大人気です。

こんにちは、ビッグ・ボブです。

大人向けにカジノコーナーやお酒の飲めるレストランなどもありますが(BC州の法律で、決まったレストラン以外でアルコールは飲めません)他に大人も楽しめるアトラクションに、モンスタートラック・レースやデモリション・ダービーがあります。毎年少しづつ趣向が違うのですが、デモリション・ダービーとは、日本語で言えば自動車破壊レースあるいは解体レース。これ以上走れないような風体の車が爆音を立てながら走り、ぶつかり合ったり、中にはスタントまがいに丘を上がって車が何回転して着地できるかなどを競ったりもします。たかがボロ車のレースと侮るなかれ。目の前で車がジャンプしたり火を吹いたり煙が出たり、実際に目の前で見るとドキドキするものです。今年は自動車の引っ張り合い。またモトクロスのチャンピオンが空中をバイクで飛んでその腕を披露してくれました。

爆音とどろかせて登場するのが、こんな風体の車たち。車体をどんなににぶつけても気にしなくて良いのであれば私もトライしてみたいかも?
車の引っ張りあい。最後には煙でどっちが勝ったかわかりません。観客席も雲の中、ゴムの焼けた臭いが充満。それでもみんな楽しそう。

そして家族連れに一番人気があるのが「スーパードッグ」と呼ばれるドッグショー。スーパードッグと言っても特別の能力のある犬が出てくるわけでも、どの犬が一番かを競うわけでもなく、飼い主ご自慢の犬たちが会場の西側と東側に分かれ、走ったりフリスビーをキャッチしたりするいう単純なものなのですが、これもまたドッグショーのエキスパートにかかれば観客参加型の一大エンターテイメントショーになってしまいます。また猟犬から、大型犬、かわいい小型犬までさまざまな犬が愛嬌を振りまいてくれるので、犬好きにはたまりません。ショーが終わるとそれぞれの飼主と話をしたり、犬をなでにゆくこともできます。主催がペットフード会社「Eukanuba」ということもあり、ペット用品の販売もありました。

カナダには犬を飼っている人が多いせいか、ドッグショーはいつも大入り満員。(*写真は今年のものではありません)

ほかにも、バンドマンの演奏、オーケストラ、子供向けショー、クッキングショーなどのアトラクションが盛りだくさん。全部しっかり見ようと思えば1日では足りません。

私がPNEを好きな理由、それは来ている人みんなが心から楽しそうなこと。あれだけの人数が集まっていながら、全員から「楽しみに来ている」オーラがガンガン出ている場所はなかなかありません。基本的に人混みが苦手な私ですが、不満な顔や怒った顔の混じっていない人混みなら話は別。こっちまでつられて笑顔になってしまいます。日本でこういう人混みに行けば退屈そうなお父さんやイライラしたお母さん、泣き叫ぶ子供というものを少なからず見かけるのですが、ここではそういった人たちがまったく目に付かないのが不思議です。

さて1910年から94年間にわたって毎年同じ場所で開催されているPNEですが、実は1997年からこのヘイスティングス・パークの再開発がはじまり、それに伴いPNEの未来も変わりつつあるようです。現在のところ、2005年まで現状維持ということが決定しているようなので、来年のフェアはこれまでと変わらず行われるようですが、それ以降はどうなるのか、毎年のフェアを楽しみにしている私としては非常に気になるところです。バンクーバー市や周辺住民の意向もあるので、これからどうなるかはまだ未定ですが、心情的にはフェアはいつまでも同じ場所にあって、いつまでもハッピーな人たちの集うハッピーな場所であって欲しいと思っています。

あまり画像を載せると重くなってしまうので、次のページに少し追加の画像を載せました。興味のある方はこちら(←クリックしてください)からご覧になってください。

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